ブログ

2013年09月

2013.09.26

心の友

 私には研究者時代に仲良く付き合っていた「心の友」とも呼ぶべき友達が何人かいますが、先週、台風18号で大きなダメージを受けた京都の様子を知り、一人の友人研究者がわざわざカナダから心配のメールを送ってくれました。

幸い、ここ箕面では京都のような大きな被害もなく、「無事だよ!」と返事しましたが、このような心づかいって嬉しいですね!

 

彼は現在、カナダのとある大学で、精神の病気に関する分子生物学研究を行なっている准教授なのですが、私が当時在籍していた研究室に半年間短期留学で来ていて、そこで立場・年齢を超えての、いわば「心の友」となったわけです。

 

彼が日本に滞在していた折には、日本独自の食べものをよく食べに行きました。
お好み焼き・串カツ・刺身・寿司・うな重…と、グルメ番組のようですが(笑)、いろいろ食べ歩きしました。
特に彼は刺身が大好きで、「俺は刺身と日本酒さえあれば、あとは何もいらない」と豪語するほどでした。

 

食事をしながら、研究の話題のみならず、お互いの国のことについて文化とか風習、ものの考え方…といろんな話題に花を咲かせたことが、昨日のことのように思い出されます。

「芥川龍之介とか三島由紀夫の作品には、独特のゆううつな雰囲気があるね」と言われた時にはびっくりしましたが(笑)。

 

外国人や外国の文化と向き合うことで、かえって日本や日本人についてよく見えてくるということがあります。
そういう意味でも、外国人とコミュニケーションを積極的にとったり(物おじなどする必要ありません)、旅行などして外国文化に触れるということがとても大切ですね。

2013.09.24

保護者面談

 今日は当塾の保護者のお父様と面談をいたしました。

思考研では、保護者の方のご希望に応じて、指導者として接していて、良いと思われる点と、気になる点とをお話しさせていただいております。

その生徒さんの場合、スポーツに幼いころから接していたせいか、非常に礼儀正しく、朗らかな反面、すこし日常の活動がスポーツに偏りがちなずぼらさ・のんきさも見受けられるので、そこについてお話しさせていただいた次第です。
スポーツの部活動をやっていく中で、どのように勉強時間を確保してゆくかが大事ですね。


スポーツも当然大事ですが、学校というところはあくまで学業が第一です。そこのところを、彼には(これまでもしてきましたが)、徹底して説いていきます。

2013.09.20

模試の利用の仕方

 昨日は中1の生徒さんに、夏休みの終わりに受けてもらった模擬試験の返却を行ないました。そして、明日、その模試の解説授業を行ないます。

 

模試の利用の仕方ですが、受けたら結果を見てそれで終わり、という方が多いのではないでしょうか?自分自身の場合を振り返っても、模試の成績に一喜一憂していることが多かったような気もします…。そうであるからこそ、自分の経験(後悔?)も含めてアドバイスしたいことは、「一喜一憂せずに後々の勉強の仕方にいかせ」ということになります。

 

1、中2のような、まだまだ入試が先にある時期には、成績の良し悪しそのものはあまり参考になりません。むしろ、「自分の勉強の仕方はこれでいいのか?」ということの反省材料にしてほしいということです。弱い科目、あるいは弱い分野があれば、それを集中的に勉強しなおす、意識的にその科目の勉強時間を増やすようにする、というような対策を施せばいいのです。とくに模試の場合、問題は見たそのままの問題は出されませんから、自分が本当にその分野の内容を理解しているか?ということがわかります。

 

内容をしっかり・本当に理解していれば、定期テストだけではなく、模擬テストでも自然に点数を取れるようになります。思考研ではいつも、そのような「足腰の強い学力」をつけてもらえるように意識して授業を行なっています。

 

2013.09.17

本日は…

 今日は昨日(祝日)の振り替え授業を行なっています。いつも月曜日・火曜日に個別指導を行なっていますが、今日は昨日分を含めて2回分まとめて授業しています。


個別指導の場合は、集団授業と異なり、対象が一人ですので、その方のペースに合わせて授業を進めてゆくことになります。真摯に学ぶ生徒さんの姿を見ながら、自分自身も教育者として成長していけたら…と思う今日この頃です。
 

個別指導を希望される方も、まだワクに空きがありますので、いつでもご相談ください。

直接0727436052までお電話いただくか、下のアドレスの「お問い合わせ・ご相談」のフォームよりお願いいたします。

2013.09.16

「銀の匙+国語要約Ⅰ」の授業

 台風18号の影響で、関西の各地でも甚大な影響が出ているようですね。私の家も昨夜はすごい激しい風雨で、なかなか寝付けませんでした。自然災害の前ではなかなか人間も無力です…。

 

 

さて、前のブログでも述べたように、思考研では故橋本武先生(元灘中・高教諭)から分与していただいた「銀の匙研究ノート」を下地にしたオリジナルプリントを使い、「銀の匙(さじ)」を深く読解する学習と、あと「国語要約」の学習を行っています。

 

前者は、「銀の匙」の世界をゆっくりと味わいながら、そして、文中の語句の意味を調べたり、出てきた言葉を使って短文を作製したり、参考となる事柄を横道にそれながら学んでいったりしています。
こうすることによって、ただ単に点数を取るための勉強ではなく、どこから何を問われても答えを導き出せる「学力の足腰」を鍛え上げていくことを意図しています。
学校での定期テストをきっちり取れることは大切ですが、模擬テストで取れない場合は「真の学力」がついているとは言えません。このようなケースがおこるのは、模擬テストでは、定期テストのように見たことのある文章・問題はそのまま出題されることはないからです。
そのような、「真の実力」がついていない場合は要注意です。
 

 

後者の授業では、一定の長さの文章を要約する作業を毎週やってもらっています。「要約」という作業は、「結局、この文章を書いた人は何を言いたいのか?」ということを大局的に理解する能力の向上につながります。
この能力の向上にともない、文章を理解することが格段にたやすくなり、現に「思考研」でも最初のうちはなかなかうまく要約ができなかった生徒さんも力がめきめきついてきていることがわかります。
思考研の授業では、毎週宿題として要約文の課題を与え、それを宿題としてやってきてもらい、次週その問題について解説しながら、適宜添削も行なうという形で授業を行なっています。

 


前者と後者の授業を一体として行なうことで、生徒の総合的な国語力の飛躍的向上を図ります。国語力はすべての教科の背骨である(最近は、高校生になって国語力のなさのせいで、教科書に何が書いてあるかさえ読み取れない子も増加してきているようです)ことから、国語力の向上のみならず、すべての科目の成績向上につながることが期待できます。

 

2013.09.14

イグ・ノーベル賞

 イグ・ノーベル賞とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞なんだそうですね。ハーバード大学で授賞式があり、これまでも「ヘェー」とうなりたくなる研究に賞が与えられています。

「笑わせる」ということから何かノーベル賞のぱっちもん(笑)のような印象を持ちますが、そんなことは決してなくて、ちゃんと真面目に日々研究なさっている研究者が受賞されていますし、日本人がたくさんこの賞をもらっていることに誇りを持ってよいと思います。

 

今回も日本人の方が受賞されており、なんとその中に、私が大学時代に授業を受けていた先生のお名前もあり驚きました。植物のバイオが専門の先生だったので、研究内容としてはさもありなんという感じですが、身近な人のお名前を拝見するとびっくりします!
でも私は大学院時代とは違い、京大の学生時代はあまり熱心に勉強していなかった(汗)ので、先生の講義もいい加減に聞き流していたのかもしれませんね~。すみません、熊谷先生…。
とにかくこのたびの受賞、おめでとうございました!

2013.09.13

昨日のブログで…(補足)

 昨日のブログで、~「興味に従って横道にそれてゆく」というスタイルが私の前職である研究者の学びの姿勢とも非常に相通ずる部分があり~と書きましたが、その部分について具体的にお話ししますね。

 

研究室と呼ばれるところでは、普通、月に何度かの割合で「論文紹介」を行います。これは、自分たちが研究している分野でなされた重要な発見について紹介したり、あるいは直接は関係ない内容でも、非常に興味深い(ほかの人も知っていて損にならないであろう)内容について報告したりします。
 

ふつう、論文というのはその最後に「参考文献(英語で言えばreference;リファレンス)」というコーナーが設けられていて、そこで、その論文が参考にした過去の文献を紹介しています。このコーナーで紹介してもらえる回数が多ければ多いほど、その論文は優れた論文である、と考えられます(中には、含む内容が深すぎて、すぐには紹介されず、何年・何十年もたってから紹介され始めるようなスゴイ研究もあります)。
 

ですから、研究者が一つの論文を深く読みたいときには、通常その論文に紹介されている「過去の論文」まで含めて読むことになります(このことを「孫引き」と言います)。さらに、紹介された論文を読んでみると、その一つ一つにも論文が紹介されています。このようなことを無限に繰り返していくと、研究者は文献調べするだけで一生を終えてしまうことになりますので、どこかでケリをつけることになりますが、基本的には一つの文献について紹介したり、詳しく知るには最低5-10の論文を読みこなさないといけません。
 

またその論文に書かれていることを参考にして、新たな実験を行うときもありますので、興味に沿って徹底的に調べる、という姿勢は学生のうちだけではなく、大人になっていろんな仕事をやっていくのに必須の能力となります(研究者だけに当てはまる話ではありません)。

われわれ思考研では、勉強は受験で終わり、ということではなく、どんな職業についても自分の頭で考えられる能力をつけることを目標としていますので、「銀の匙(さじ)」を使った勉強を実践しているわけです。

2013.09.12

追悼 橋本武先生

 ~教科書を使わない型破りな授業で知られた私立灘中学・高校(神戸市東灘区)の元国語教師・橋本武(はしもと・たけし)さんが11日、老衰のため神戸市内の病院で亡くなった。101歳だった。告別式は未定。

 京都府宮津市出身。1984年までの50年にわたり教壇に立ち続けた。作家・中勘助の自伝的小説「銀の匙」を中学3年間かけて読み込む授業が、生徒や保護者に支持された名物教師。

 「生徒の心に残る授業がしたい」と授業では毎回、ガリ版刷りのプリントを配布。運動場でたこ揚げをするなど小説の中の出来事を体験させたり、一つの単語から次々と話を派生させたりした。2011年6月には、同中学で27年ぶりに教べんを執り、話題を呼んだ。(2013年9月12日 読売新聞)~
 

とてつもなく悲しい訃報が入ってきました。

当塾「思考研」でも授業を行なっている「銀の匙(さじ)」をつかった国語授業の創始者でもある、元灘中・高教諭の橋本武先生が昨日お亡くなりになりました。御年101歳でした。


思えば縁あって近所の子供たちを教えることに
私が携わるようになり、「何かためになって、しかも、楽しみも生まれるようなことはできないか」と考えた時に思い出したのが、橋本先生がわが母校灘校でおやりになっていた「銀の匙(さじ)」を題材にした勉強法でした。

まず、上の記事にもあるように、生徒の心にのちのちまで残るような授業をしたいと思いました。
くわえて、「興味に従って横道にそれてゆく」というスタイルが私の前職である研究者の学びの姿勢とも非常に相通ずる部分があり、ぜひ橋本先生の勉強法を取り入れさせていただきたく、(灘校の縁ということで)ずうずうしくも橋本先生に直接お手紙を差し上げました。
驚いたことに、わずか3,4日後くらいにお返事が届き、文面にはこう書かれていました
 

~「銀の匙」の読書会いいですねえ。貴君ご自身の色を出されれば一そう楽しい集いにおなりでしょう(以下略)~
 

そしてそこには、橋本先生の血と汗の結晶(ひょうひょうとした橋本先生にはこのような表現は似合わないかもしれませんが)である、オリジナル「銀の匙研究ノート」3冊が同封されていました。私はその本3冊を見てふかく感動するとともに、感謝の念を禁じえませんでした。
灘校の縁はあるとはいえ、はじめてお手紙を差し上げた私に対してこんなにも親切かつ謙虚に接してくださる先生の度量と人間性に深く感銘を受けました。


その後、先生のアドバイス通り、私自身の色(私の場合、生命科学・医学の研究者でした)を加えて、例えば「銀の匙」の最初の方に出てくる「漢方医学」に引っ掛けて「西洋医学」の一つの例としてiPS細胞について生徒たちに資料を作ってお話ししたりしました(ちょうど、昨年山中伸弥先生がノーベル賞を授与されたので、生徒たちも大変関心を持って聞いてくれました)。
 

またちょうど最近、当「思考研」で学ばれている生徒さんとともに、橋本先生にお手紙を書いて差し上げよう、と考えていたこともあり、訃報に接したショックは大きいのですが、上に記したように、子供たちに行っていた授業が、いまここ「思考研」で行っている「銀の匙+国語要約Ⅰ」の授業につながってきていると思うと、この「思考研」も橋本先生の数多くの「血と汗の結晶」の一つになるのかもしれません。
また、私自身も橋本先生のお名前に恥じぬような「心と頭に残り、かつ、知的好奇心を満たす」ような授業を行っていかなければならないと決意を新たにしているところです。

 

橋本先生、本当にありがとうございました。そして、長きにわたりお疲れさまでした。橋本先生の残された教育・思想・哲学はきっと世の中の隅々にまでしみわたり、明日の世界で活躍する日本人を育成することにつながっていくことでしょう。

 

合掌

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